DPE technique(意図的に細い針で硬膜穿刺をする方法)やCSEA(硬膜外麻酔と脊髄くも膜下麻酔を組み合わせた方法)等を用いることによって、産婦さんの状態やお産の進行状況にも合わせてできるだけ満足度が高く安全な方法を選択しております。
これらの麻酔方法を使い分ける施設は国内でもほとんどないのが現状です。
国内の無痛分娩の多くは硬膜外麻酔のみで行われております。硬膜外麻酔は効き始めるまで10-15分位要するのに対し、DPE techniqueではその半分くらいの時間で効き始めます。また、急速に分娩が進行している場合は更に効き始めるまでの時間が短い方法(CSEA)を選択することもあります。非常に高度な手技であるためこれらの方法を採用している施設は国内ではごく一部です。
・麻酔時は厳重な母児の監視が必要であることと、無痛分娩予定の方はできるだけ無痛分娩をして頂きたいため(自然に陣痛が来てお産の進みが早すぎるため麻酔ができなかったり、食後すぐに陣痛が来て麻酔がかけられないことがないように)基本的に計画分娩とさせて頂いております。計画前に陣痛が来た場合でも可能な限り対応をさせて頂きます(24時間、365日対応です)。
・残念ながら24時間同じアクティビティで稼働できる病院は全国どこにもありません。無痛分娩はより厳重な母児の監視を必要とすること、陣痛促進剤の助けなしにお産することが非常に難しいこと、吸引・鉗子分娩の頻度は増加するため、スタッフの人数が多い日中のお産で完結することが母児の安全の観点からも好ましいと考えております。そのため、当院の無痛分娩は基本的に計画分娩で行わせて頂いております。
・硬膜外麻酔のみの無痛分娩は分娩時間が長くなりやすいのに対し、当院では状況に合わせてその他の方法も行っているため無痛分娩中の帝王切開率が1-2%と非常に低いです(一般的な帝王切開率はクリニックで5-10%、病院で10-15%と言われております)。他院では医師が待てずに簡単に帝王切開にするような症例でも、当院ではできるだけ経腟分娩を目指し安易な帝王切開はいたしません。この極めて低い帝王切開率は熟練した医師と看護スタッフの技術の賜物でもあります。
・麻酔と陣痛の強さは相反するものであり、より強い麻酔をかけようとするほど陣痛が弱まり分娩時間が長くなったり難産になりやすくなります。分娩の経過にできるだけ悪い影響を与えず、低い帝王切開率での無痛分娩を行うために鎮痛剤の量は最小限にしております。痛みの目安としては最悪の痛みを10とした場合3位を目指しております。これくらいの痛みなら何とか我慢できるかなといったイメージです。また、当院で使用している麻酔薬注入用のポンプではご自身でもある程度の痛みのコントロールが可能です。
・無痛分娩の麻酔は基本的に産婦人科医が行っております。お産と麻酔を両方診ることのできる医師が分娩全体を管理することにより、満足度の高いお産と安産と低い帝王切開率をすべて成り立たせております。いわゆる総合病院でお産と麻酔を別々の医師が担当する場合はお産全体を統括する医師がいませんので、分娩時間がいたずらに長くなったり吸引・鉗子分娩が多くなったり帝王切開率が高くなったりします。
・十分な安全管理体制を整えた上で行っております。
麻酔中は常に母児の連続監視を行っていることと、重篤な副作用発生時に備えて薬剤や人工呼吸のための器具を常備しております。当院の無痛分娩に関する情報は無痛分娩関連学会・団体連絡協議会(JALA)のホームページもご参考下さい。
・無痛分娩は大変ご好評を頂いており沢山の方から選んでいただいておりますが、安全管理上無痛分娩の数はどうしても制限せざるをえません。そのため妊娠初期の早い段階で予約が一杯になることもありますのでご了承ください。
☑症例経験は豊富ですか?→当院では2000例以上の経験があります。約5-6割の方が無痛分娩を希望しております。
☑無痛分娩は24時間365日対応しておりますか?→もちろん当院では対応しております。
☑無痛分娩中の帝王切開率を公表しておりますか?→無痛分娩中にお産を進めるためには医師や助産師の熟練度が重要です。うまくお産を進められないと帝王切開率が高くなります。当院の無痛分娩中の帝王切開率は1-2%と全国的に見ても非常に低い数字です。
☑硬膜外麻酔単独ですか?その他の方法を併用しておりますか?→もちろん当院では大変満足度の高いDPE techniqueやCSEAを状況に合わせて併用させて頂いております。
☑完全無痛?!→完全無痛という医学用語はありませんので、その言葉の意味もはっきりしません。ちなみに帝王切開もできる位に痛みを完全に除去してしまうと経腟分娩はできません(足が全く動かなくなりますし陣痛も弱くなります)。当院では完全無痛という言葉は使いません。